そもそも生活習慣病とは何なのか?
生活習慣病とは、厚生労働省の発表によると、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群と定義されています。
簡単に言い変えると、日常生活を送るうえで運動不足や飲酒・喫煙・不規則な生活など、子どものころからの生活習慣が原因となって発症する様々な病気のことを総称して生活習慣病と呼んでいます。
生活習慣病にはどんな病気があるのか?
それでは、生活習慣病にはどのようなものがあるのでしょうか。
以下でいくつか簡単に紹介していきます。
1.糖尿病
糖尿病は血糖値を下げるインスリンの量が不足、もしくは働きが弱くなって高血糖状態が続いてしまう病気です。
健康な人の血糖値は空腹時で70~110mg/dL程度で、ブドウ糖負荷検査2時間後の値も140mg/dLほどしか上がりません。
しかし、糖尿病になると空腹時でも血糖値が126㎎/dL以上になります。
2.肥満/メタボリックシンドローム
カロリーや脂質の多い食事、運動不足によって体に過剰な脂肪が蓄積された状態を指します。
肥満の指標にはBMIが用いられ、目安は25以上です。
メタボリックシンドロームは、腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上の内臓脂肪型肥満に加え、「高血糖」「脂質異常」「高血圧」のうち2つが当てはまった状態です。
3.脂質異常症(高脂血症)
血液中のコレステロールや中性脂肪などの脂質代謝に異常をきたした状態のことを指し、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞などにつながる原因となります。
LDL-コレステロール(140mg/dL未満)、HDL-コレステロール(40mg/dL以上)、トリグリセライド(150mg/dL未満)がそれぞれ基準値から外れると脂質異常症です。
LDL-コレステロールが120~139mg/dLでも、高血圧や糖尿病などがあると動脈硬化のリスクが高くなるため治療が必要になります。
4.高血圧症
安静な状態で血圧を測定したときに、心臓が収縮して血液を送り出すときの最高血圧が140mmHg以上、心臓が血液を取り込んだ拡張したときの最低血圧が90mmHg以上が続く症状です。
遺伝的な異常や食事などの生活習慣、ストレスの多い環境などさまざまな要因が引き金となります。
5.アルコール性肝疾患
アルコールは肝臓で分解・処理されますが、大量なアルコール摂取は肝臓に大きな負担となり機能低下が起こってしまいます。
「アルコール性脂肪肝」になってもアルコールを摂取し続けると「アルコール性肝炎」へと進行して肝臓の細胞が破壊されて元に戻ることはありません。
生活習慣病になってしまう原因とは?
生活習慣病とは不適切な食習慣、運動不足、喫煙、過度な飲酒、またストレスが原因になることがあります。
特に基礎代謝が落ち始める40歳以上は肥満になりやすく、メタボリックシンドロームを始めさまざまな生活習慣病を引き起こしやすいため注意が必要です。
生活習慣病発症のリスクのある生活をしていないかを知るために、以下の質問にいくつあてはまるかチェックしてみましょう。
1.生活面
20代の頃と比べて体重が10kg以上増えた人は肥満傾向です。とくに毎日飲酒する人や喫煙する習慣のある人は要注意。
さらに、睡眠不足であったりストレスが溜まっていたりすると自律神経が乱れて健康状態を維持しにくくなります。
- 40歳以上である
- 20代の頃と比べて体重が10kg以上増えた
- お酒をよく飲む
- たばこを吸う
- 運動をあまりしていない
- 睡眠不足
- ストレスがたまっている
2.食事面
パンやご飯など炭水化物や脂っこい食べ物をよく食べる人は太りやすく、濃い味付けのものを好んで食べていると血圧の上昇につながります。
甘いジュースや間食、深夜の食事は血糖値を上げてしまいます。
野菜をあまり食べない人も栄養バランスや腸内環境が悪化するため病気になりやすいでしょう。
- 炭水化物をよく食べる
- 脂っこい料理をよく食べる
- 濃い味付けの料理をよく食べる
- 甘いジュースをよく飲む
- 間食が多い
- 深夜の飲食が多い
- 野菜をあまり食べない
3.運動面
運動不足は筋肉が減って代謝が落ちることで肥満になりやすくなります。
車による移動や在宅ワークだと1日ほとんど歩かないこともあり、運動をする習慣がないと生活習慣病になりやすいです。
- 移動は車が多い
- 運動をする習慣がない
- 一日の歩数は7,000歩未満が多い
生活習慣病の予防の仕方と改善方法
生活習慣病は、進行すると命にかかわるような深刻な病気が多く、かからないことが一番大切です。
生活習慣病を予防するためには、大きく分けて「運動」「食事」「たばこ」「飲酒」「睡眠」の5つの観点で対策をすることができます。
1.定期的に運動をする
定期的な運動習慣は生活習慣病の予防だけでなく、心肺機能や脳の機能も高めてくれ長生きできるようになります。
有酸素運動なら1回30分程度で脈拍が100~120程度の強度を、週2~3日程度でも効果があります。
2.食事の内容を変える
炭水化物、脂質を摂りすぎないようにして、1日20〜30品目を目安に多くの食品からビタミン、ミネラルなどの栄養素を摂るようにします。
標準体重はBMIが22〜24になる体重で、病気になりにくいとされています。
標準体重になるために1日に摂取できるエネルギー量の目安を計算で求めることが可能です。
まずは自分の身長から標準体重を計算します。
『標準体重=身長(m)×身長(m)×22』
(※単位は㎝ではなくmです。)
『1日に必要なエネルギー量(kcal)=標準体重(kg)×活動レベル別エネルギー消費量(kcal)』
※活動レベルごとの体重1㎏あたりのエネルギー消費量
- レベル1は30~35kcal:ほぼ座って過ごす
- レベル2は35~40kcal:職場内での作業や通勤、買い物、軽いスポーツのいずれかを行う
- レベル3は40~47kcal:移動が多く、立ち仕事。または、よく運動する習慣がある
3.禁煙する
喫煙者は、がんや心臓病、脳卒中、肺気腫、喘息など、特定の重要な疾病の罹患率や死亡率などが高いことは、多くの疫学研究などにより指摘されています。
国立がん研究センターは、禁煙をして10年が経過すると、喫煙者に比べて肺がんのリスクが半分に低下し、口腔、咽喉、食道、膀胱、頸部、膵臓がんのリスクも低下すると発表しています。
喫煙は、生活習慣病との因果関係は強いと言えるでしょう。
4.過度な飲酒は控える
飲酒は肝疾患、脳卒中、がんといった生活習慣病と関連があると厚生労働省も指摘をしています。
日本での研究に加え、欧米人も対象とした研究を含めて検討した結果、男性は1日当たり純アルコール10~19g、女性は1日当たり純アルコール9gまでがもっとも死亡率が低く、1日当たりのアルコール量が増えることで死亡率が上昇するとされています。
通常のアルコール代謝機能を有している日本人の「節度ある適度な飲酒」としては、1日平均純アルコールで約20g程度が目安です。
5.睡眠を十分にとる
厚生労働省の発表では、睡眠不足が肥満・高血圧・循環器疾患・メタボリックシンドロームを発症させる危険性を高めるとしています。
また、睡眠時無呼吸症候群も生活習慣病の原因としており、いわゆる「いびき」が高血圧、糖尿病、脳卒中、虚血性心疾患などの危険因子であるとされています。いびきは禁煙、節酒をすることで改善に有効であるとしています。