よく噛んで食べる事で消費カロリーがアップする
「早食いをすると太る」と、よくいわれます。
その理由としてまず思いつくのは、早食いの人は過食しやすい、ということでしょう。
ところが、最近、それだけではないことがわかってきました。
「早く食べる人よりも、ゆっくりよく噛んで食べる人のほうが、エネルギーを多く消費し、太りにくい」といわれるようになってきています。
最新の研究では、60kgの体重の人が1日3回、1年間、ゆっくりよく噛んで食事をした場合、早く食べた場合に比べて、体脂肪に換算すると1.5kg分のエネルギーを多く消費するという研究結果も出ています。
健康にもダイエットにもよく噛むことは効果が大きい
昔から「よく噛んで食べることは大事」と言われていますが、それには先ほど紹介した消費カロリーが高くなるといったものの他にも様々な健康やダイエット効果を与えてくれるからなんです。
ここからはそんなよく噛んで食べることの侮れない効果をご紹介していきます。
1.満腹感を得られやすい
よく噛んで食べると、脳では「神経ヒスタミン」という物質が分泌されます。
これによって満腹中枢や交感神経が刺激され、食欲が落ち着き、満たされていきます。
しかし噛む回数が不十分だと「神経ヒスタミン」が分泌されず、なかなか満腹感が得られないのでその分食べすぎてしまうことにつながります。
2.痩せホルモンが分泌される
「神経ヒスタミン」の他にも、よく噛んでたべることで「レプチン」や「GLP-1」と呼ばれる「痩せホルモン」が活性化します。
「レプチン」は食欲を抑制するだけでなくカロリーを消費しようという働きも担っている優れたホルモン。
「GLP-1」は海外では肥満症の人の治療薬として知られ、このホルモンを注射するダイエット方法もあるほどで、最近は日本でもGLP-1の注射やサプリメントが知られるようになってきています。
3.間食を防ぐ
よく噛まずにに早食いで食事をすると、血糖値が急上昇して満腹中枢が刺激され、食欲も収まってきますが、急上昇した血糖値は急激に低下するのでまたすぐにお腹が空いてしまいます。
つまり早食いをする人ほどお腹がすきやすくなるので間食が多くなってしまいます。
よく噛んでゆっくり食事をすれば、血糖値は緩やかに上昇していくので、血糖値の低下も緩やかとなり、次に空腹を感じるまでの時間が長くなり、間食を防ぐことにつながるのです。
4.消化が良くなる
よく噛むことで消化がよくなります。
消化酵素であるアミラーゼが噛むことによって分泌され、主にでんぷん(炭水化物)を糖に分解してくれます。
日本人は遺伝的にアミラーゼが他の民族より多く持っている傾向があるとされています。
だからお米を食べてもスムーズに消化され、太りにくいのではないかと考えられています。
アミラーゼの分泌が十分でないと、その分すい臓からインスリンというものが大量に分泌されます。
インスリンは中性脂肪を作る働きもあるため、肥満の原因となります。
他にも消化吸収がスムーズでないと、胃痛や腹痛、便秘、肌荒れ、自律神経の乱れといったさまざまな不調の原因にもなります。
5.虫歯を予防してくれる
よく噛んで食べることで唾液がしっかり分泌されると、特に唾液に含まれるパロチンというホルモンがカルシウムと結びつき、歯の表面に浸透することで、歯を強くし虫歯を予防します。
6.小顔効果やほうれい線が薄くなる
唾液に含まれるパロチンは別名「若返りホルモン」といわれ、肌や筋肉、内臓の代謝を活性化させる働きがあることが確認されている物質です。
実際、パロチンは更年期障害の治療薬としても使用されています。
もちろんよく噛むことによって表情筋が鍛えられるので、表情が豊になり、顎のたるみ予防や小顔効果も得られます。
噛む噛むダイエットを成功させるコツ
以上のように、よく噛むことは健康にもダイエットにも効果があることがわかりました。
しかし、現代の食生活でよく噛んで食べることは非常に難しいことです。
それは、食事の中に「硬く」「歯応えのあるもの」が失われつつあるからです。
「口の中で溶けるような〜」や「ふわふわな~」といった柔らかい食事が好まれる現代において「硬く、噛みごたえがある」食事を摂るのは容易ではありません。
ここからは、食事以外に噛むことを生活に取り入れるコツをしょうかいしていきます。
1.食前・食後にガムを食べる
食前にガムを食べるだけで、ダイエットになることはよく知られています。
ガムを噛むことで先に満腹中枢を刺激したり、食欲抑制ホルモンを分泌させておくことができるからです。
また、食後にガムを食べるだけでも、遅くはありません。
食後15分にガムを噛むだけでエネルギー消費量が6〜8kcal増加することも報告されていますし、食後の咀嚼でアミラーゼが分泌されることで消化吸収を助けてくれます。
ノンシュガーやキシリトールなどの歯磨きガムのようなものを噛むといいでしょう。
2.間食は歯ごたえがあるものを用意
小腹が空いたり、おやつを食べたくなったらスルメ、ナッツ類、昆布、こんにゃくゼリー、プロテインバー、サラダチキンなど、なるべく歯応えがあってローカロリーなものをえらびましょう。
おやつにこのような歯ごたえのあるものを選ぶことで噛むことを習慣化することができます。
3.噛む回数はあえて決めず、数えない。そのかわりに時間をかける
「1口30回」とよくいわれますが、なかなか30回噛める食材はありません。
また心の中で数を数えながら噛んでいると、噛むことが苦痛になってきます。
それよりは、時間をかけて食べることを目標にするといいでしょう。
1回の食事を15分~20分かけてゆっくり食べる、と決めるだけも噛む回数は自然に増えるはずです。
逆に、テレビをみながら、スマホをみながらの食事は、あっという間に終わってしまうので、やめたほうが良いでしょう。